子どもからもらう危険な褒美
子どもが中学受験をしているとき、今わたしマズイ状況になってるなと思ったことがある。
S塾に通っていた小4のとき。成績やクラス分けが世界のすべてになっていて、谷底に突き落とされたり、少しだけ浮上したりをくり返していた。
今思えば塾のクラスがなんだっていうの?という感じだが、視野が怖ろしく狭くなっていたのだ。
ほかのママと顔を合わせるたび、「ホント大変よね…」と嘆き合うのだった。
あるママは
「もう子どもの成績が悪くて、家族が険悪で…。離婚になるかも…」
と言っていた。
みな、思うようにならない成績に、親としてのプライドをずたずたにされるのである。
だからこそ、成績が上がった、クラスが上がったなんて日には、志望校に合格したかのような舞い上がり方だ。
安定的に上位クラスにいる子のママたちは、なんだか堂々としていて、非常にまぶしく映ったものだ。
そう、子どもの成績こそ、子育てのご褒美だったのだ。
こんなに大変な思いを(私が)してるんだから、せめていい点数をプレゼントしてちょうだい、という発想だ。
子どもが悪い成績をとると怒りがこみ上げてくるのは、もはや受験は「子どものため」ではなくなってる証拠だ。
改めて言う。
子どもの成績は、親のご褒美じゃない。
子どもはポイントをゲットしてくるゲームのキャラクターじゃない。
子どもの成績は、子どものもの。
あの頃の私と、あの頃の私のような‟まっしぐらな”親たちに言いたい。