フリーランスママdays

フリーライター&中学生ママの日々の悩みと小さな幸せ

【オススメ本】彼らに必要なのは「支援」よりも「保護」

DVとか育児放棄とかヤングケアラーとか、過酷な家庭環境に置かれる子どもにようやく焦点が当たりつつある。

しかしながら、いわゆるやくざと呼ばれる親から生まれた子どもには、その目はなかなか向けられない。

こういう子どもたちは、一人の子が上記の問題を全て抱えてしまっているケースも多いのだという。

にもかかわらず、行政や学校のサポートを得られないどころか、差別すら受けて放置されてしまう。

親は「学校や警察や行政は敵」と教えているため、子ども自身が助けを求めようとは考えないし、子ども自身も声を上げたら親が逮捕される可能性があるとわかっているから、声を上げたくても上げられない。

近所の人も薄々感づいていても関わりになりたくないと通報することをためらい、学校は学校で親と面と向かって対峙することを望まない。

ノンフィクション作家・石井光太さんの新刊『ヤクザ・チルドレン』は、こうした家庭に生まれた子ども14人のインタビューが載っている。

暴対法が施行されてから、やくざと呼ばれる人たちの生活はますます厳しくなり、そのとばっちりが一番の弱者である子どもに向かっているという。

その子どもたち(と言ってもすでに成人している)のエピソードは信じがたいものばかりだ。

家庭内暴力はあたりまえで、両親ともに麻薬中毒だった人や、母親の恋人が毎週のように変わる人、親が指名手配されて一家で逃亡する人まで。

学校では、みんなから色眼鏡で見られ、今まで仲良くしていた友達が離れていったり、定員割れしている定時制高校に不合格になったり。

家にも学校にも居場所がない状況で、受け入れてくれるのは不良仲間だったり暴走族だったり暴力団事務所だったりしたら、道を踏み外さずに生きていくことはできるのか――。

石井光太さんの言葉が印象的だった。

暴力団の家庭に生まれ育った時点で、大半の子供たちには支援というより保護が必要だ」

これは昔話でもなければ、遠い国の物語でもなく、今現在この日本で起こっている現実なのだ。

周りにいないとピンと来ないけれど、知っておかなきゃいけないことはある。特に教育関係やメディアに関わるのであれば。